2022年11月02日
目次 ・はじめに ・中国のデジタル化はなぜ発展できたのか ・中国のデジタル化推進のための政策 ・国家情報化発展戦略の概要 ・長期的なデジタル化政策推進の結果 ・インターネット・モバイル利用者が増加 ・デジタル経済規模の増加 ・まとめ |
今の時代、経済発展とデジタル化はとても大きく関係します。中国はこれまで20数年と長期的に国全体を挙げてデジタル化に力を注いできました。今では、世界でトップレベルのデジタル化を実現しています。今日は、中国がどのようにして「デジタル大国」となったか、その背景を見ていきましょう。
中国はデジタル化推進のための明確な計画を5カ年計画や分野特化型発展戦略を通して推し進めてきました。
1982年に、国家ハイテク研究発展計画が始まりました。1990年には国家情報化「九五規画」と2010年までの長期ビジョンを打ちだしました。
2006年に「国家情報化発展戦略」が考えられ、2014年にはその概要が決まります。2017年はAI(人工知能)の発展計画、2020年は新型インフラ建設構想と2035年までの長期目標が掲げられています。
2006年に出された「2006-2020年国家情報化発展戦略」で、2020年までの基本的な目標として掲げられたのは、
・総合的な情報インフラの普及と整備
・電子政府の推進
・デジタルディバイド(情報格差)の縮小
・人材育成と競争力向上
などです。
この計画をきっかけに、ネットインフラが整備され、インターネット利用者が劇的に増加しました。
また、人材育成と優秀な人材確保に力を入れるようになり、海外留学で帰国した人たちがIT企業や研究機関でなどで活躍できるようになりました。
中国のデジタル化政策により、インターネットとモバイルの利用者数が飛躍的に大きく増えました。
このグラフを見ると、2007年は約2億だったインターネット人口(紺色の棒線)は2020年12月には10億近くに、5000万に満たないぐらいだったモバイルインターネット人口(グレーの棒線)はほぼインターネット人口と同じく10億近くにまで増加しています。2020年12月現在、インターネット人口にモバイルインターネット人口がほぼ追いついており、ネット人口に占めるモバイルインターネット人口の割合(青の折れ線)を見ると99.7%となっていることからも、インターネットを利用する人のほとんどはモバイル端末からもアクセスしていることが分かります。特に新型コロナウィルス感染症の影響もあったからか、2019年6月から2020年12月でインターネット人口とモバイルインターネット人口ともに1億以上増加しており、過去で最も増加幅が大きくなっています。
また、2007年にはインターネット人口が約2億、モバイルインターネット人口に至っては5000万に満たないぐらいでしたが、わずか約13年でインターネット人口約5倍、モバイルインターネット人口に至っては約20倍ほど増加しています。この驚異的な増加率、増加数は、中国の長期的なデジタル化政策推進の結果にほかなりません。
このグラフで一目瞭然ですが、2002年から2019年までの約20年間の変化は非常に大きいです。2019年のデジタル経済規模は、358,402億元(約573兆円/1元16円換算)にまで達しました。これは2019年のGDPの36.2%を占めています。
約20年の間に、金額規模で約30倍、GDP比で約3.5倍もの成長を遂げました。これは驚異的な数字です。
今回は、中国が「デジタル大国」になった背景と、長期的なデジタル化政策の推進がもたらした結果を見てきました。
中国は、デジタル化推進計画を明確に打ち出し、長期的に、また着実に進めてきました。中国のこれまでの経済発展とデジタル改革を見ると、ネットインフラの充実や、優秀な人材確保が重要課題であることが分かります。
日本もデジタル化・DX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進しています。DXの定義である「ITの浸透が、私たちの生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」、そのような未来に期待したいものです。