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物流センターの事務作業時間を増やす伝票処理をRPAで自動化

2024年08月13日

 序 


     物流センターにおける事務作業時間を増やす要因の1つに伝票処理があります。センター内では、さ まざまな伝票を取り扱っており、その対応が現場の負荷になっています。この伝票処理を 自動化する ためのツールとして注 目されるのが「R PA(ロボティクスプロセスオートメーション)」です。今回 は、物流センターの伝票処理におけるR PAを使った 自動化について説明します 。

     物流現場では、ピッキングなどの作業はもとより、 一連の事務作業が発 生 しています 。受発注データを元に注 文書やピッキングリストを印刷し、そのリストを元にピッキング作 業を実施。そのうえで出荷案内書を発 行 して商品と照合し、送り状を発 行するなどです 。そこには、さまざまな種類・形式の伝票が存在します 。結果、多くの物流企業が、受注情報のデータ 入 力 や、注 文の確認・通知、出荷依頼書や 納品書の発 行、配送指 示など、 手 入 力による定型事務作業に追われています。なかでも発 注書のメール送信や運 用 システムへの登録は時間がかかる作業です 。

繰り返す定型業務の効率化には「業務の標準化」が前提に

     こうした定型事務作業の効率を高めるためのツールの1つとして期待されるのが「RPA(ロボティクスプロセスオートメーション)」です。
     RPAは、「事前に決められた手順を自動化する仕組み」であり、 人間の作業者などに代わっ て、単調で膨 大な量に及ぶ作業であ っても定められた 手順を 自動的に実行します。
     その手順は、RPA専用ソフトウェアを 用 いれば、プログラミングやITに関する専 門的知識を持たない担当者が作成できます。クラウ ド型R PAツールなら初期投資を抑えられます 。
     RPAの導入により、単調なデータ 入 力や修正・更新、各種帳票の作成など、反復的な定型業務の自動化・省力化が期待できます。導入効果は、対象業務が、「繰り返す定型業務で ありながら作業ミスが発 生しやすい」場合に、より大きくなると考えられます。
     ただし、 ルーチン業務をこなすというR PAの特性を考えれば、業務の標準化は必須条件です 。
対象業務には、データの検索や、集計、加 工、登録、報告などが挙げられます。
在庫管理・棚卸における最新状況へのリアルタイム更新などへの適用も可能です 。
荷主が運用管理する販売管理システムなどとの配送指示や実績データなどの交換 用途にも対応できます。
     物流センターのWMS(倉庫管理システム)から入出荷の日時・スケジュール、問い合わせ番号、該当する運送会社などを抽出し、荷主側のシステムにアップロードします(図1 )。出荷実績や在庫情報などのバックアップ作成もRPA 導 入で省人化が図れます 。

図1:RPA( ロボティクスプロセスオートメーション)によるWMS( 倉庫管理システム)との連携例

     24時間体制で夜間にデータ処理を実施している物流センターでは最近、人手不足などから夜間スタッフを昼間業務に割当てる必要が出てきています。
     その際、注文データに基づく出荷依頼の取り込み処理や、帳票印刷、出荷準備といった一連の流れをRPAに任せれば、夜間スタッフを昼間業務にシフトできます。人員配置の刷新によりランニングコストを20~30%以上削減できるとも考えられています。
     例えば物流企業のA社は、営業時間外に受発注処理を実施するために夜間スタッフを配置して対応してきました。しかし、夜間スタッフの負担は重く、改善の必要性を感じていました。
     そこで、RPAを導入し夜間作業の自動化を進めた結果、夜間スタッフの労働負担の軽減だけでなく、人手が足りない昼間業務に回すことで労働力の有効活用さらには作業効率化を実現できました。

RPAAI技術の連携が、さらなる自動化を可能に

     近年は事務処理にAI(人工知能)技術を活用する動きが高まっています。RPAツールにも最近はAI技術を取り組む動きが出ています。
     元々のRPAは、機械学習などにより学習していくことはなく、プログラムが状況の変化に自律的に対応することはありません。そこで、データ取得などの旧来のRPAの領域に、AI技術を加味することで自律的なオペレーションにつなげていくのです(図2 ) 。

図2: RPAとAI技術の連携により自律化を図る

     例えば、アルバイトやパートなど作業者のシフト管理は、人数が増えれば増えるほど、それぞれの勤務時間などの都合を配慮しなければならず、シフト作成担当者は、より多くの時間を割かなければなりません。
     近年は特に、労働力が多様化し、高齢者や女性、外国人など、これまでは作業に従事してこなかった 人材が、 土日・祝祭日や短時間勤務、あるいはイレギュラーな勤務時間でのシフトを希望するケースが増えています。複雑化する一方のシフト管理に、手作業ではなく、AI技術を使って対応するわけです。
     在庫のロケーション管理でも、出荷頻度や作業動線などから、最適な物品の保管場所や最短の経路に作業順路の提案などにAI技術が導入されるようになってきています。さらに今後は、量子コンピューティングの活用が期待されています。次世代コンピューティングの最有力選択肢とされる量子コンピューターが持つ、より高速な計算能力により、シミュレーションによる物流の最適化が現実味を帯びてきているのです。
     例えば調達物流において、サプライヤー数が数百を超え、複数カ所のパーツセンターを経由して、50 ~ 100カ所の工場に納品するとすれば、輸配送ルートの組み合わせは数百万にもなります。そのうえでトラック総数や総走行距離数、仕分け作業分類などを含めて物流コストの最適化を図ろうとすれば、計算には莫大な時間がかかります。
     そこに量子コンピューティングを利用すれば、計算速度とシミュレーション精度の向上が図れます。既に量子コンピューティングを使ったシミュレーションにより、トータル物流コストを2~5%程度削減できるという試算を弾き出している企業もあります。

定型業務の自動化は「完全自動化への入口」

     このようにみれば、RPAは「完全自動化への入口」だとも言えます。定型業務をRPA を使って自動化されている現場は、AI 技術を導入するうえで極めて好都合な環境とも考えられるからです。
     来るべき、量子コンピューターや6G(第6世代移動通信システム)時代には、望むべき業務達成目標を入力すれば、AI技術が達成までのプロセスを自動生成するようになると考えられています。
     RPAにより定型的な事務処理の効率化・ 自動化が実現できて入れば、将来的なAI連携によって、自動化を自律的に展開していく、すなわち「システムが自ら考えて、最適な事務処理を実行する」方向に進んでいくという可能性が見えてきます。


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